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歯茎が腫れる、出血する、口臭が気になる。このような症状が続くと「歯周病かも?」と不安になりますよね。その中でも「歯周ポケット」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。歯周ポケットとは、歯と歯茎の間にできる隙間のことで、歯周病の進行具合を測る重要な指標です。このポケットが深くなると、歯を支える骨まで溶けてしまうこともあります。
今回は、歯周ポケットの基礎知識から、回復する可能性、治療の必要性まで詳しく解説します。

1. 歯周ポケットとは何か?歯茎の状態を知る目安

歯周ポケットとは、歯と歯茎の境目にできるすき間のことを指します。健康な歯茎ではこの隙間は浅く、通常1~2mm程度ですが、歯垢や歯石がたまって炎症が起きると、歯茎が歯から離れてポケット状に深くなります。この深さが3mm以上になると、歯周病の兆候とされます。

①健康な歯茎の状態

歯周ポケットの深さが1~2mmで、出血や腫れがない状態です。健康な歯茎で歯を支えているため、一般的に歯は動きません。

②軽度の歯周炎

ポケットが3~4mmになると、炎症によって歯茎が腫れたり、歯磨き時に出血が見られることがあります。歯を支える骨への影響はまだ軽度ですが、早期の対処が必要です。

③中等度の歯周炎

ポケットの深さが5~6mm程度まで進行すると、歯を支える骨の吸収が始まり、歯が動くようになります。口臭や不快感も強くなってくるケースもあります。

④重度の歯周炎

ポケットが7mm以上になると、骨の大部分が失われており、歯がぐらついたり、最悪の場合は抜けてしまうこともあります。

このように、歯周ポケットの深さは歯周病の進行度を示す重要な指標であり、定期的な検診で測定することが大切です。

 

2. 歯周ポケットは自然に回復する?治療で改善できる範囲

「歯茎の腫れは自然に治るのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、深くなった歯周ポケットが自然に元通りになることはほとんどありません。放置すると歯周病が進行し、歯を支える骨がさらに失われてしまうことがあります。ここでは治療方法について解説します。

<自然治癒の限界>

軽度の歯茎の腫れや出血などの症状は、正しい歯磨きや生活習慣の改善によって軽快する場合がありますが、いったん深くなった歯周ポケットは自然には浅くなる可能性は低いと言われています。

<治療方法>

①歯科医院でのスケーリング(歯石除去)

軽度~中等度の歯周病であれば、歯科医院で行うスケーリングによって、ポケット内の歯垢や歯石を除去し、炎症を改善を目指します。これにより、ポケットがやや浅くなることがあります。

②SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

中等度以上の進行がある場合には、歯根表面まで清掃するSRPという処置が必要です。深いポケット内部の歯石まで除去することで、症状の改善を図ります。

③外科的治療の適応

歯周ポケットが深く、通常の処置では改善が見込めない場合は、歯茎を切開して内部を直接清掃するフラップ手術などの外科的治療が行われることもあります。

歯周病は進行性の疾患です。治療によって症状を改善し、ポケットの深さを減らすことは可能ですが、完全に元通りにするのは難しいケースが多く、維持と予防の継続が不可欠です。

 

3. 歯周病の進行と生活習慣の関係

歯周病の進行には、歯磨きの仕方だけでなく、生活習慣が大きく影響しています。毎日の習慣を見直すことで、歯周病の進行を遅らせたり、予防することが大切です。

①喫煙

タバコに含まれる有害物質は、歯茎の血流を悪くし、免疫力を低下させます。そのため、歯周病の発症リスクが高くなり、進行も早くなる傾向があります。禁煙することで歯周病の改善がみられることがあります。

②食生活

偏った食事や甘いものの摂りすぎは、むし歯や歯周病のリスクを高めます。ビタミンCやカルシウムなど、歯茎の健康を保つ栄養素を意識したバランスの良い食事が大切です。

③ストレス

過剰なストレスは免疫機能を低下させるだけでなく、歯ぎしりや食いしばりといった無意識の習慣を引き起こし、歯や歯茎に悪影響を与えることがあります。

④睡眠不足・不規則な生活

十分な睡眠がとれていないと、身体全体の抵抗力が落ち、歯周病にもなりやすくなることもあります。規則正しい生活を送ることが、歯茎の健康維持にもつながります。

⑤不十分な口腔ケア

磨き残しが多いと、歯垢が蓄積されて炎症が悪化します。正しいブラッシング方法と、デンタルフロスや歯間ブラシの併用が重要です。

生活習慣の見直しは、治療と同じくらい重要な予防策です。継続して意識することが大切です。

 

4. 大阪府交野市の歯医者 太田歯科医院の歯周病治療

太田歯科医院は、交野市の地域に根ざした『かかりつけ医』を目指しています。
20年以上の治療経験を持つ院長をはじめ、歯科医師一同「患者さん自身の歯を1本でも多く残すこと」を大切にしています。

太田歯科医院の歯周病治療では、「歯周病がどれぐらい進んでいるのか?」「進行スピードはどうか?」など、患者さんの歯周組織(歯ぐきや骨)の現状を把握し、一人ひとりの進行状況に合わせて段階を踏んだ治療を提案しています。

♦基本的な歯周治療

歯科医師・歯科衛生士による歯周ポケットのプラーク除去を行いブラッシング指導を行います。
なるべくご自身の歯を残していただくために、ご自宅でも出来るケアをお伝えしています。

♦重症化した歯周病の外科的治療

深い歯周ポケットにある歯石を除去するためのフラップ手術や、溶けてしまった歯の骨や歯根膜を再生させるための歯周組織再生治療など多数の外科的治療の中から状況に応じた最適な治療を提案します。

歯周病治療は、①歯科医師による治療、②歯科衛生士による専門的なケア、③患者さんご自身によるホームケアの3つの柱に支えられています。
患者さんの歯周病への理解と協力がとても大切ですので、ご自身のお口の状態をなるべくわかりやすくご説明をさせて頂き、ご理解頂けるよう努めております。

 

まとめ

歯周ポケットは、歯周病の進行度を示す大切なサインです。浅い状態であればセルフケアやスケーリングでの改善が期待できることもありますが、深くなってしまった場合は、専門的な治療が必要と歯科医師が判断することがあります。また、日常の生活習慣も歯茎の健康に影響を与えるため、総合的なアプローチが重要です。

大阪府交野市で歯周病にお悩みの方は、太田歯科医院までお問い合わせください。

 

監修:太田 貴之


経歴:
1997年 大阪歯科大学 卒業
1998年 大阪歯科大学臨床研修 終了
1999年 尼崎市 久井歯科医院 勤務
2003年 佐古歯科医院 勤務
2005年 医療法人 太田歯科医院 開業

所属学会:
日本口腔インプラント学会 専修医
日本口腔インプラント学会 会員
大阪口腔インプラント研究会 会員