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歯ぐきの健康状態を調べる際に欠かせないのが「歯周ポケットの深さ」です。歯科検診で「歯周ポケットが深くなっていますね」と言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。この深さは、歯周病の進行度を見極める重要な目安になります。ただ、実際には「その深さで何がわかるのか?」「何ミリからが歯周病なのか?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。今回は、歯周ポケットの深さと歯の健康の関係、さらに数値別の対処法について解説します。
1. 歯周ポケットの深さで歯の健康状態がわかる理由
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの境目にできる溝のことです。健康な状態ではこの溝は浅く、細菌や汚れも溜まりにくい構造ですが、歯周病が進行するとこのポケットが深くなり、内部に細菌が入り込むようになります。これが歯を支える骨を徐々に破壊し、やがて歯がぐらつくこともあります。
以下に、歯周ポケットの深さが歯の健康の指標になる理由を解説します。
①歯ぐきの炎症が深さに反映されるため
歯周病は初期段階で歯ぐきの腫れや出血を引き起こし、歯周組織が弱まることでポケットが深くなります。この深さが、炎症の進行具合を示すサインとなります。
②歯を支える骨の破壊と関係しているため
歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ溶けていきます。骨の吸収が進むほど、歯周ポケットはより深くなり、歯のぐらつきが増す原因となることがあります。
③ポケットが深いほど、細菌が繁殖しやすくなるため
深い歯周ポケットは酸素が届きにくく、嫌気性菌という歯周病を悪化させる菌が繁殖しやすくなります。結果的に悪循環となり、歯周病がさらに進行する可能性が高まります。
④ポケットの深さで治療方針が決まるため
歯周ポケットの深さを測定することで、患者さんの歯周病の状態を把握します。これにより、クリーニングや歯石除去、外科処置など必要な治療方法を判断します。
このように、歯周ポケットの深さは単なる数値ではなく、歯ぐきや骨の健康状態を反映する大切な指標なのです。
2.歯周病は何ミリから?数値別の歯の健康状態
歯周ポケットの深さは、プローブという器具を使って1本ずつ測定されます。以下に、歯周ポケットの深さごとの歯の健康状態を解説します。
①1〜2mm:健康な状態
歯と歯ぐきのすき間が浅く、炎症や出血も見られないことがほとんどです。日常的な歯みがきと定期的なクリーニングで、健康を維持しやすい状態です。
②3〜4mm:軽度の歯周病の可能性あり
歯ぐきに軽い炎症が起きている状態で、歯みがきの際に出血することがあります。まだ骨の破壊は起きていないか、ごくわずかです。正しいセルフケアで改善できるケースもあります。
③5〜6mm:中度の歯周病
歯を支える骨の吸収が始まり、歯がぐらつくこともあります。歯ぐきの腫れや出血、口臭の悪化が見られることが多く、専門的な治療が必要です。
④7mm以上:重度の歯周病
歯槽骨が大きく破壊されており、歯が大きく揺れることもあります。痛みや膿が出ることがあり、場合によっては抜歯が必要になることもあります。外科処置を含む専門的な歯周病治療が求められます。
⑤数値だけで判断できないこともある
歯周ポケットの深さが浅くても、出血や排膿がある場合は歯周病の可能性があります。反対に、歯ぐきが引き締まっていても骨の吸収が進んでいるケースもあるため、定期的な検査が重要です。
歯周病は自覚症状が少ないまま進行することも多いため、「何ミリだから大丈夫」と自己判断せず、歯医者での検査と診断を受けることが大切です。
3. 検診で歯周ポケットが深いと言われたら
歯科検診で「歯周ポケットが深くなっていますね」と言われると、驚きや不安を感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、歯周病は早期に対処すれば進行を止められる可能性があります。以下に、歯周ポケットが深いと指摘された場合に取るべき対応について、軽度から重度のケースまで解説します。
①軽度(3〜4mm)の場合:セルフケアの見直しが基本
この段階では、日々の歯みがきを丁寧に行い、歯垢をしっかり除去することで症状の改善が期待できます。特に歯と歯ぐきの境目を意識したブラッシングが重要です。加えて、歯間ブラシやデンタルフロスの併用も効果的です。
②中度(5〜6mm)の場合:歯医者での専門的なケアが必要
自宅でのケアだけでは対応が難しくなるため、歯医者でのスケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(歯根の平滑化)といった処置が必要になります。治療後は定期的なメンテナンスを継続することで、進行を食い止めることにつながります。
③重度(7mm以上)の場合:外科的治療も視野に
歯周ポケットが非常に深い場合は、フラップ手術(歯ぐきを開いて歯石を取り除く処置)などの外科的治療が検討されます。歯を保存できるかどうかの判断も必要になるため、歯科医師との十分な相談が欠かせません。
④生活習慣の見直しも重要
歯周病は生活習慣病の一種とされており、喫煙、ストレス、食生活なども影響します。とくに喫煙は歯ぐきの血行を悪化させ、治療効果を下げる要因となることがあるため、禁煙も重要な対策の一つです。
⑤症状がなくても治療を受けるべき理由
歯周病は「サイレントディジーズ(静かな病気)」と呼ばれるほど自覚症状が乏しいことが特徴です。出血や痛みがないからといって放置せず、指摘があった場合には早めに治療を開始しましょう。
検診での指摘は、歯の健康を守るチャンスでもあります。状況に応じて適切なケアを行い、これ以上の進行を防ぐことが大切です。
4. 大阪府交野市の歯医者 太田歯科医院の歯周病治療
太田歯科医院は、交野市の地域に根ざした『かかりつけ医』を目指しています。
20年以上の治療経験を持つ院長をはじめ、歯科医師一同「患者さん自身の歯を1本でも多く残すこと」を大切にしています。
太田歯科医院の歯周病治療では、「歯周病がどれぐらい進んでいるのか?」「進行スピードはどうか?」など、患者さんの歯周組織(歯ぐきや骨)の現状を把握し、一人ひとりの進行状況に合わせて段階を踏んだ治療を提案しています。
♦基本的な歯周治療
歯科医師・歯科衛生士による歯周ポケットのプラーク除去を行いブラッシング指導を行います。
なるべくご自身の歯を残していただくために、ご自宅でも出来るケアをお伝えしています。
♦重症化した歯周病の外科的治療
深い歯周ポケットにある歯石を除去するためのフラップ手術や、溶けてしまった歯の骨や歯根膜を再生させるための歯周組織再生治療など多数の外科的治療の中から状況に応じた最適な治療を提案します。
歯周病治療は、①歯科医師による治療、②歯科衛生士による専門的なケア、③患者さんご自身によるホームケアの3つの柱に支えられています。
患者さんの歯周病への理解と協力がとても大切ですので、ご自身のお口の状態をなるべくわかりやすくご説明をさせて頂き、ご理解頂けるよう努めております。
まとめ
歯周ポケットの深さは、歯と歯ぐきの健康状態を示す重要なサインです。歯周病は3mmを超える深さがひとつの目安とされていますが、数値だけでなく、出血やぐらつきなどの症状も含めて総合的に判断することが必要です。定期検診と適切なセルフケア、必要に応じて歯医者での治療を組み合わせることで、歯周病の進行を防ぐことが期待できます。
交野市駅からすぐの歯医者 太田歯科医院では、歯周病の予防・早期治療のための診察やクリーニング、ブラッシング指導も行っています。
大阪府交野市で歯周病についてお悩みの方は、交野市のかかりつけ歯医者 太田歯科医院 までお問い合わせください。
監修:太田 貴之
経歴:
1997年 大阪歯科大学 卒業
1998年 大阪歯科大学臨床研修 終了
1999年 尼崎市 久井歯科医院 勤務
2003年 佐古歯科医院 勤務
2005年 医療法人 太田歯科医院 開業
所属学会:
日本口腔インプラント学会 専修医
日本口腔インプラント学会 会員
大阪口腔インプラント研究会 会員